個別指導では、生徒それぞれに対する分かりやすい解説が求められます。では、分かりやすい解説とはどのようなものでしょうか。
おもしろい例え話をすれば、生徒の印象には残ります。暗記系の単元なら、そういう例え話も有効です。
しかしながら、それは純粋な分かりやすさとは異なります。数学や理科の応用問題は、面白い例え話では解けるようになりません。
今回は、分かりやすい解説とは何かについて説明していきます。
行動科学マネジメント
分かりやすい解説を語るうえで、行動科学マネジメントという考え方を用いていきます。
行動科学マネジメントとは、結果は『行動の積み重ね』であると考え、行動(過程)に着目することで、理想的な結果を得ることができるという考え方です。
行動科学マネジメントは再現性の高い手法です。望ましい行動を実践することで、高確率で求めている結果につながるからです。
これを勉強に関して応用すると、望ましい過程で問題を解けば、高確率で正解できるということになります。
行動分析
行動科学マネジメントを実践する上で、必要になってくるのが行動分析です。
求めている結果につなげるためには、望ましい行動が何かを探す必要があります。その際に、行動分析を用います。
結果までの過程を細かく分解していき、必要な要素のみを抽出していきます。
この時に大切なのは、できる限り細かく分解するということです。細かく分解することで、より過程が分かりやすくなります。
この過程の分解を数学や理科の応用問題に当てはめていきます。
応用問題がなぜ難しいかというと、答えまでの過程が長く複雑だからです。逆をいえば、その過程を細かく分解して分かりやすくすれば、理解しやすくなるということです。
分解と結合
分かりやすく解説するためには、まずはできる限り過程を細かく分解する必要があります。この分解する能力が、分かりやすい解説をする能力につながります。
さらに、分解後は生徒のレベルに合わせて過程を結合していきます。
理解力の高い生徒には、1から10まですべてを説明する必要はありません。逆に説明に飽きてしまうので、端的に情報をまとめたほうが理解が早いです。
応用問題が苦手な生徒には、細かく一つ一つの過程の説明をします。一つ一つの条件を確認していかないと、どこかで迷子になってしまいます。
学力的には優秀だからこそ、解説がわかりにくい講師は結構います。その場合は、過程を分解する能力が低いことが多いです。
自分自身の勉強の時は、細かい過程を気にせずにザっと理解できてしまったが故です。応用が苦手な生徒がつまづく過程に気づけないのです。
分かりやすい解説とは
最後に、分かりやすい解説を実現するための手順をまとめます。
- 解答までの過程を細かく分解する
- 必要な過程を抽出し整理する
- 理解度に合わせて過程を結合する
以上のようなことを考えて解説をすれば、それぞれの生徒が理解しやすい説明になるはずです。
今回はまるで新人講師研修のような内容でした。
大手個別時代に、新人学生講師用の研修マニュアルを作っていたことを思い出しました。