国公立大学後期試験に合格した日

国公立大学受験はなかなかに過酷な戦いである。

特に後期試験は魔境である。

前期試験に敗れし者たちが、鬼気迫る思いで挑んでくる。

さらに言えば、前期試験に比べ定員が圧倒的に少ない場合が多い。

どれだけ試験がうまくいったとしても全く安心できない。

それが国公立大学後期試験。

この話はその『魔境』を
生き抜いた男の物語である。

この話は『センター試験の思い出』『国公立大学前期試験に落ちた日』の続きの話である。

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前期試験の『不合格』発表日の夜、学校から連絡を受けた。

「名大の合否は?」「ダメでした」「そうか。明日は学校に来い」

次の日、私は学校に行った。

教室に着くとそこには私と同じように前期試験不合格の生徒たちが数人集まっていた。

空気はどんよりと重い。

「お前たちなら絶対合格できる!最後まで頑張れ!」などと激励される。

その言葉すら重くのしかかってくる。

それでも私はやらねばならぬ。

この後期試験を突破しなければ、私は大学生になることすらできないのだから。

散々と『禁忌』を破ってきた私が浪人生活をまっとうに送れるとは到底思えない。

これが最後のチャンス。

試験まで残り2日。

『ほぼ新品状態』の名工大の赤本の演習を始めた。

このあたりの記憶はあまりない。

人間は本気で集中すると時が経つのを感じなくなるらしい。

後期試験終了後、手ごたえはまずまずだった。

数学と物理はほぼ完答。

8割以上はいったと思う。

英語は知らん。

しかしながら、これは国公立大学後期試験。

この程度の手ごたえで自信など持てるはずもない。

前期試験不合格を経験した身であるがゆえに、油断などできるはずもない。

実際のところ、もう受験は終わったのだから、油断もなにもないのだが。

後期試験合格発表日。

もうネット発表は怖くて見れない。

名大・名工大と共に受験した戦友と一緒に現地へ。

地下鉄鶴舞駅から、鶴舞公園を通り抜けて、名工大に向かう。

この時期の鶴舞公園といえば桜なのだが、そんなことを気にしている余裕などない。

名工大に着く。

合格発表のボードがちょうど開示されたところだ。

私は恐る恐る自分の番号を確認しに行く。

私の番号がそこにはあった。

何度も何度も確認したが、確かにそこに私の受験番号が存在していた。

「どうでしたか」大学の関係者にふいに聞かれる。

「ありました!合格しました!」

その後、満面の笑みで記念撮影を受ける。

なにやら大学には『入学』アルバムというものがあったらしい。

この写真がそこに掲載されることとなる。

よほど嬉しそうだったのだろう。

大学入学後、友人にイジられることになる。

ちなみに、戦友もしっかり合格していた。

安心してほしい。気まずい空気にならずにすんだ。

合格発表の帰り道。ふと目につくものがある。

桜。

桜が咲いている。

皆さんに最後に言っておくことがある。

喜びすぎると
アルバムに載ってしまうぞ

ちなみに、私の名は直喜。

素直に喜ぶ男だ。

おまけ『成績開示【大学受験後日譚】』に続く。

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